寄附講座・共同研究講座
①地域医療支援および専門医育成推進講座
Department of Community Medicine Management
2017年4月1日から、上記寄付講座を開設いたしました。本講座は北海道厚生農業協同組合連合会(JA北海道厚生連)によって支援されています。
寄附講座の教育研究領域の概要
北海道における医師不足や偏在が顕在化する中、地域医療を担うacademicかつ内科診療能力の高い医師の育成が急務です。地域医療は単に医学・医療の応用分野に留まらず、地域住民を取り巻く行政や文化、医療保健福祉制度、地域の健康問題など様々な分野を包括します。道東・道北の教育機関の中心である旭川医科大学において、これらの地域医療ニーズを理解したacademicかつ内科診療能力の高い次世代医師の育成を行うことで、各地域への最適な診療支援や教育・研修環境の整備に貢献することを目的といたします。
特任教授 藤谷幹浩(兼務)
特任講師 進藤基博(専従)
特任助教 林 秀美(専従)
➁消化器疾患病態学講座
Department of Gastroenterological Sciences
2023年5月1日から、上記寄付講座を開設いたしました。本講座は医療法人社団刀圭会 協立病院によって支援されています。
寄附講座の教育研究領域の概要
消化器腫瘍(食道から肛門までの消化管腫瘍、肝胆道系腫瘍、膵腫瘍)を主な対象疾患とし、癌の発生・進展ならびに浸潤・転移メカニズムについて、網羅的な遺伝子発現解析技術や各種動物モデル、ヒト消化器由来細胞を用いて解析します。また、炎症性疾患(食道炎、胃炎、炎症性腸疾患、膵胆道炎症性疾患、肝炎)を主な対象疾患として、疾患発生や増悪のメカニズムについて、網羅的な遺伝子発現解析技術や各種動物モデル、ヒト消化器由来細胞を用いて解析します。これらの研究で得られた成果をもとに、消化器腫瘍・炎症の病態を明らかにし、新規治療戦略開発へと展開していきます。
特任教授 盛一健太郎(兼務)
特任講師 上野伸展(兼務)
特任助教 坂谷 慧(専従)
③予防医学講座
Department of Preventive Medicine
2024年4月1日から、上記寄付講座を開設いたしました。本講座は社会医療法人 元生会によって支援されています。
寄附講座の教育研究領域の概要
本邦における死因の多くは悪性腫瘍と脳・心血管障害です。この両疾患領域の予後改善には、未病の段階からの介入や早期発見・早期治療などの予防医療が重要です。本講座では、悪性腫瘍や脳・心血管障害の病因・病態にもとづく予防医学的アプローチの手法を確立し、その成果をもとに北海道における予防医学・医療を推進することを目的といたします(関連コア・カリキュラム:令和4年度医学教育モデル・コア・カリキュラムSO-01-01、他)。
特任教授 藤谷幹浩(兼務)
特任准教授 澤田康司(兼務)
特任助教 岡田哲弘(専任)
④地域連携医学講座
Department of Community-based Health Care
2024年4月1日から、上記寄付講座を開設いたしました。本講座は砂川市によって支援されています。
寄附講座の教育研究領域の概要
北海道における医師の不足および地域偏在が顕在化する中、地域医療を担う医師の育成が急務となっています。このため、道東・道北の教育機関の中心である旭川医科大学において、地域医療のニーズに応えられる医師の育成・指導システムの構築・改善が重要な課題となっています。本講座は、各地域の診療実態や医療ニーズを把握し、最適な地域連携・支援方法の提案を行うとともに、地域医療を担うスキルを持つ医師を育成し、地域の診療支援や教育・研修環境の整備に貢献することを目的といたします。
特任教授 藤谷幹浩(兼務)
特任講師 嘉島 伸(兼務)
特任助教 堂腰達矢
⑤消化器先端医学講座
Department of Gastroenterology and Advanced Medical Sciences
共同研究講座の教育研究領域の概要
この度、消化器先端医学講座を新設いたしました。本講座は消化器を中心として、各臓器にわたって、新規の診断法や治療法を開発することが主な目的です。現在進行中のプロジェクトは、いずれも萌芽的な研究段階から非臨床試験、臨床試験へとステップアップし、実用化に至るまで、一貫して当講座で実行しております。
代表的な研究テーマとして、「微生物由来分子の機能解明と新薬開発」をご紹介いたします。腸内細菌は腸の健康維持に働くだけではなく、肝臓や膵臓といった他の消化器臓器や脳・神経を含めた全身の臓器の恒常性維持に大きな役割を果たしています。また、乳酸菌やビフィズス菌に代表される有益菌はプロバイオティクスと呼ばれ、長年にわたってヨーグルトなどの機能性食品として多くの人に食され、その安全性や健康維持効果が明らかにされてきました。しかしながら、プロバイオティクスを直接投与しても、難病や悪性腫瘍などの難治性疾患に対しての効果は低く、治療薬としてのエビデンスは乏しいのが現状です。これは、生菌を投与しても、難病や悪性腫瘍の患者さんのように病的な腸内環境の中では十分に働くことができないためと考えられます。そこで、当講座では、プロバイオティクスが分泌する様々な分子を精製・濃縮して投与することでこの問題を解決し、難病や悪性腫瘍に対する新薬開発へと結びつける研究を推進しております。すでに我々は乳酸菌(Lactobacillus brevis)由来の長鎖ポリリン酸に高い腸バリア機能改善作用があること発見し、難治性の炎症性腸疾患を対象とした医師主導臨床試験によって、高い治療効果を証明いたしました。このプロジェクトは医薬品医療機器総合機構(PMDA)の助言のもと、第I相、II相試験を予定しております。また、乳酸菌(Lactobacillus casei)由来のフェリクロームに強い抗腫瘍作用があることを発見し、既存の抗がん剤(5-FU、シスプラチン)を超える効果を確認いたしました。こちらも非臨床試験を経て、実用化研究へと進める予定です。その他にも、治療に結び付く生理機能を持った複数のプロバイオティクス由来分子を同定しており、様々な疾患を対象とした新薬開発を目指しております。また、その他のプロジェクトとして、RNA修飾異常の解析にもとづいた癌特異的な新規標的分子の解明、炎症性腸疾患患者の分子異常の解析にもとづいた病因の解明、初代培養細胞を用いた新規抗腫瘍分子の機能解析や分子マーカーの開発など、幅広い分野に対して研究を行っております。
以上のようなコンセプトで基礎研究の成果を実用化へと結びつけ難病や悪性腫瘍に苦しむ方々の福音になるよう努力していきたいと思います。今後ともご支援賜りますと幸いに存じます。何卒、よろしくお願い申し上げます。
特任教授 藤谷幹浩(兼務)
特任講師 小西弘晃
リンク
https://www.kamuipharma.co.jp/
⑥先進ゲノム地域医療講座
Department of Advanced Genomic Community Healthcare, Asahikawa Medical University
当科・胆膵グループは、2019年から日立ハイテクと「膵腫瘍の低侵襲診断」に関する共同研究を実施してきました。2024年7月に、さらなる研究開発による分子診断の社会実装と、がん患者の診断・治療・治療後のQOL (Quality of Life) 向上の実現をめざし、共同研究講座を開講しました。
本講座では、血液や尿などから遺伝子などの分子情報を分析する液体生検(リキッドバイオプシー)の活用をはじめとして膵がんなどの早期診断が難しいがん種においても、低侵襲かつ早期にがんを検出する新しい分子診断の開発を推進します。また、当科が臨床・研究などで培った知見を用いて、遺伝子解析技術とゲノム科学、生物情報科学を駆使し、がんの発生原因の解析をはじめとした研究を実施します。さらに、がんの診断・治療・経過観察のプロセスであるPatient Journey(症状や病気を自覚し、医療機関にかかって治療を受け、回復していく過程)において、日立ハイテクのDNAシーケンサーなどの分析装置やデジタル技術を生かし、検査の実施から検査データの分析補助など、検査・診断領域を中心に患者や医師をサポートする一連のがんゲノム医療のシステム構築をめざします。そのうえで、本学を中心とした地域の医療機関とも連携しながら、がんの早期発見および適切な治療を適切なタイミングで提供する遺伝子検査など、分子診断の開発および一連の検査に必要なシステムを構築し、地域医療へと還元します。
特任教授 水上裕輔(兼務)
特任准教授 高橋賢治(兼務)
特任助教 (2025年1月に赴任予定)
客員准教授 小野裕介
技能補佐員 玉村伸恵
プレスリリース